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山田担による沖田総司ポイント その4

前回『山田担による沖田総司ポイント その3』の続きです。

 

Episode08『胡沙笛を吹く武士』

沖田総司ポイント】★☆☆☆☆

胡沙笛とあう尺八に似た音色の笛を吹く隊士鹿内香るの悲劇を描いたこのお話、沖田くん出てきません!以上!

 

Episode09『三条磧乱刃』

沖田総司ポイント】★★★★☆

はい!こちらは沖田きゅん結構いい場面で登場します!新入りの隊士である国枝と新選組六番隊組長井上源三郎にまつわるエピソードです。

まずは、沖田の人物像がわかるこんな場面

平隊士は大広間に詰めこまれている。ここへはめったに患部の連中は顔をみせなかったが、例外は、一番隊組長の沖田総司であった。個室が窮屈らしく、平隊士のごろごろしている広間へよく遊びにきた。

気さくな男だから、たれかれなしに話しかけた。

「沖田先生」

みながそういうと、

「先生はよしてくださいよ」

そんな調子である。新選組きっての天才的な剣士といわれた沖田総司は、まだ二十を二つほど過ぎたばかりで、国枝より若い。

はぁ、私が平隊士だったらもう遠くから眺めているだけで満足。話しかけられでもした時にはもうテンパってよく分からない返事をしちゃう…けど、多分沖田きゅんは優しく笑って返してくれるんだろうなぁ…自担(山田さん)に話しかけられて緊張しちゃうちびっ子Jr.の気持ちが今なら分かる(誰)

国枝は、新入りのため井上源三郎の事が分からず、その見た目から60歳くらいではないか沖田に尋ねます。沖田は弾けるように笑いだし、井上は40代であると教えます。国枝はその事実に驚き、自分の無礼を詫びます。

「いいよ、そう見られた井上のおじさんのほうが悪いんだもの」

沖田は、おじさん、といった。言葉の裏に、骨肉の間柄こような温かさがこもっている。

ここで、補足しますと井上源三郎は近藤・土方・沖田と同じ天然理心流の剣道道場出身で新選組の初期メンバーです。近藤・土方・沖田の大先輩にあたり、彼らに剣の手ほどきをしたのも井上だと言われています。剣の腕前は3人には劣るものの、その実直な性格で黙々と組のために尽くしています。それゆえ、沖田にとって井上はお父さんのような存在だったのかもしれません。この人懐っこさがたまらん。

その後、井上源三郎と国枝が原因(原因と言うほどの事でもないのですが)でひと悶着あり、土方がその事で井上をからかうと、責任感の強い井上は国枝と2人で実力では到底敵わない相手の所へ向かおうとします。沖田はその様子を寝床から見ていました。

沖田総司は、井上が出たあと、外出の支度を調えて、土方の副長室に訪ねた。土方はすでに寝ていた。総司ですよ、と声をかけてから部屋に入り、手燭の灯を行燈にうつした。鎖を着込んだ姿をみて土方がおどろいた。

「なんだ、夜中、その恰好は」

「別にすき好んでやっているわけじゃありませんよ。あなたが悪いんです」

「おれが?」

「井上さんの一件。ああいう物の言いかたをすれば、当人は死勇をふるいますよ」

(中略)

「(井上と国枝の実力では)むりだが、ああいうお人です。しんから隊にわるいことをした。とおもって出かけたのでしょう」

沖田きゅん的には「いけない!大好きなおじさんが危ない!お兄ちゃん(土方)に言わないと…僕も助けに行くんだ!」という感じですかね。私にはそう脳内変換されました。井上おじさんの事が心配で夜も起きて見てたんだよね…なんて良い子なんだ。土方が可愛がるわけだ…。

そして、沖田を初め、新選組は井上らを助けに行きます。そこでの戦闘場面、沖田が出てくるのはほんの一瞬なんですが、それがまた良いんです。夜の闇の中で闘っているので、敵味方の判別が付きにくく、味方を一人斬られてしまいます。そこで…

沖田は呼子を吹いて隊士をさがらせ、あとに残った敵の影を一つずつ数えた。

「十一人」

数えおわってから、味方に動くなと命じ、たった一人で、敵の影をへ突き入った。

うわぁ、これ自分に自信がないと絶対出来ないやつ。一人で闘った方が動きやすくて、敵を仕留められると思ったからこうしたわけでしょ?痺れるぜ…。

 

Episode10『海仙寺党異聞』

沖田総司ポイント】★★★☆☆

詳しいあらすじは省略しますが、沖田のピュアな一面が垣間見えるエピソードです♡

主人公の長坂小十郎はお小夜という女性から相談にのってほしいと手紙を貰います。これは長坂をおびき出すための敵の罠でなのですが…

小十郎は沖田に手紙を書いみせた。沖田はこの問題の背景に、それほど複雑な事象があろうとは、想像もしていない。

「案外なものだな」と、感心した。まだ二十歳を幾つも越していない沖田には、女というものへの憧憬がうせていないようであった。

人を疑わないピュアな沖田きゅん…君はそのままが一番や。

その後、沖田がなにげなく土方にそのことを伝えると、土方は沖田の信じられないほどの人の好さに驚きを隠せません。

「総司、正気かね」

と土方がいった。

沖田は、ちょっとふくれてお小夜の手紙をみせた。(中略)

「どうです」

「馬鹿だなあ。とんだ狐だよ。この手紙のとおりのしおらしい女なら、男を真葛ヶ原のよし幸などによぶものか」

「どういう場所です」

「出逢茶屋じゃないか(中略)一番隊は、組頭も組下も、人の好い馬鹿がそろっている」

「それでは何ですか、土方さん、出逢茶屋を知っている者が利口で、知らない者が馬鹿というわけですか」

「屁理屈をこぎやがる」

沖田に、行ってやれ、とあごでしゃくった。

人が良すぎて土方のお兄さんに馬鹿にされてふくれちゃった沖田きゅん…可愛い。出逢茶屋なんて沖田きゅんは知らなくて良いんです!(モンペ発動)土方のお兄ちゃんもひどいよ…いざ、沖田がそんな所へ行ったら目の色変えて様子を見に行くだろうに。頭の回転が速いから、すかさず屁理屈言っちゃうのもまた愛おしいですよね。


新選組って基本的に暗殺集団で残忍な場面も少なからずあるのですが、土方と沖田の2人の会話のシーンは本当にほっこりするんです。土方が沖田の前では、仔犬のように素になるんですよね…。それをこれまた産まれたばかりの子犬のような沖田が聞いてあげるってのが最高

 

また最後は脱線しましたが、今回はここまで。

次回はいよいよ、自担(山田きゅん)に置き換えるともう瀕死の沖田きゅんの甘酸っぱい恋を描いた作品が登場します!


【引用】

司馬遼太郎新選組血風録』新装版(角川文庫)